Android では、インテントとそれに関連する追加機能を使用することにより、ユーザーがアプリで情報をすばやく簡単に共有できるようになっています。
Android では、ユーザーがアプリ間でデータを共有するのに、2 つの方法があります。
- Android Sharesheet は主に、アプリの外部へのコンテンツの送信、別ユーザーへの直接のコンテンツの送信、またはその両方のために設計されています。たとえば、友人との URL の共有などです。
- Android インテント リゾルバは、明確に定義されたタスクの次の段階にデータを渡すのに最適です。たとえば、アプリから PDF を開き、ユーザーにビューアを選択させるなどです。
インテントを作成するときには、インテントに実行させるアクションを指定する必要があります。
Android は、アクション ACTION_SEND
を使用して、あるアクティビティから別のアクティビティにデータを送信します。このとき、プロセス境界を越えることもできます。データとそのタイプを指定する必要があります。システムは、データの受信が可能な互換性のあるアクティビティを自動的に見つけて、ユーザーに表示します。インテント リゾルバの場合、インテントを処理できるアクティビティが 1 つだけであれば、そのアクティビティがすぐに開始されます。
Android Sharesheet を使用すべき理由

Android Sharesheet を使用して、ユーザーに対するアプリ間での一貫性を持たせることを強くおすすめします。アプリでは、共有ターゲットの独自のリストを表示すること、および独自の Sharesheet を作成することは行わないでください。
Android Sharesheet を使用すると、ユーザーは適切な人と情報を共有できます。このとき、関連するアプリが推奨され、すべて 1 回のタップで行うことができます。 Sharesheet は、カスタム ソリューションでは利用できないターゲットを、一貫したランキングでおすすめします。 これは、Sharesheet が、システムでのみ利用可能な、アプリとユーザーのアクティビティに関する情報を考慮できるためです。
また、Android Sharesheet には、デベロッパーにとって便利な機能が多数あります。たとえば、次のようなことができます。
- ユーザーがいつ共有を完了し、どこと共有したかを知る
- 独自のカスタム
ChooserTarget
とアプリ ターゲットを追加する - Android 10(API レベル 29)以降のリッチテキスト コンテンツのプレビューを提供する
- 特定の
ComponentName
に一致するターゲットを除外する
Android Sharesheet の使用
すべてのタイプの共有について、インテントを作成し、そのアクションを Intent.ACTION_SEND
に設定します。
Android Sharesheet を表示するには、Intent.createChooser()
を呼び出し、その際に作成した Intent
オブジェクトを渡す必要があります。
常に Android Sharesheet を表示するバージョンのインテントが返されます。
テキスト コンテンツの送信
最も簡単で一般的な Android Sharesheet の使用方法は、あるアクティビティから別のアクティビティにテキスト コンテンツを送信することです。たとえば、ほとんどのブラウザは、現在表示されているページの URL をテキストとして別のアプリと共有できます。これは、メールやソーシャル ネットワークで友人と記事やウェブサイトを共有するのに便利です。以下はその方法の例です。
Kotlin
val sendIntent: Intent = Intent().apply { action = Intent.ACTION_SEND putExtra(Intent.EXTRA_TEXT, "This is my text to send.") type = "text/plain" } val shareIntent = Intent.createChooser(sendIntent, null) startActivity(shareIntent)
Java
Intent sendIntent = new Intent(); sendIntent.setAction(Intent.ACTION_SEND); sendIntent.putExtra(Intent.EXTRA_TEXT, "This is my text to send."); sendIntent.setType("text/plain"); Intent shareIntent = Intent.createChooser(sendIntent, null); startActivity(shareIntent);
必要に応じて、メールの宛先(EXTRA_EMAIL
、EXTRA_CC
、EXTRA_BCC
)や件名(EXTRA_SUBJECT
)などの情報を、補足情報として追加できます。
注: Gmail などの一部のメールアプリは、EXTRA_EMAIL
や EXTRA_CC
のような補足情報に String[]
を想定しており、putExtra(String, String[])
を使用してインテントにこれらを追加します。
バイナリ コンテンツの送信
ACTION_SEND
アクションを使用してバイナリデータを共有します。
適切な MIME タイプを設定し、補足情報 EXTRA_STREAM
にデータへの URI を入れます。
これは通常、画像の共有に使用されますが、任意のバイナリ コンテンツの共有にも使用できます。
Kotlin
val shareIntent: Intent = Intent().apply { action = Intent.ACTION_SEND putExtra(Intent.EXTRA_STREAM, uriToImage) type = "image/jpeg" } startActivity(Intent.createChooser(shareIntent, resources.getText(R.string.send_to)))
Java
Intent shareIntent = new Intent(); shareIntent.setAction(Intent.ACTION_SEND); shareIntent.putExtra(Intent.EXTRA_STREAM, uriToImage); shareIntent.setType("image/jpeg"); startActivity(Intent.createChooser(shareIntent, getResources().getText(R.string.send_to)));
受信アプリケーションには、Uri
が指すデータへのアクセス権が必要です。以下は、これを行うためのおすすめの方法です。
- 自分の
ContentProvider
にデータを保存し、他のアプリがこのプロバイダにアクセスするための正しい権限を持つようにする。アクセス権を与えるためのおすすめの方法は、受信アプリケーションへのアクセス権だけを付与する一時的な URI ごとのパーミッションを使用することです。FileProvider
ヘルパークラスを使用すると、このようなContentProvider
を簡単に作成できます。 - システム
MediaStore
を使用する。MediaStore
は本来、動画、音声、画像の MIME タイプのためのものですが、Android 3.0(API レベル 11)以降では、メディア以外のタイプも保存できます(詳細については、MediaStore.Files
をご覧ください)。scanFile()
を使用してファイルをMediaStore
に挿入でき、その後、与えられたonScanCompleted()
コールバックに、共有に適したcontent://
スタイルのUri
が渡されます。システムMediaStore
に追加されると、そのコンテンツはデバイス上のすべてのアプリからアクセスできるようになることに注意してください。
適切な MIME タイプの使用
送信するデータに対して最も限定的な MIME タイプを指定する必要があります。たとえば、書式なしテキストを共有するときには text/plain
を使用する必要があります。Android で単純なデータを送信するときの一般的な MIME タイプを次に示します。
text/plain
、text/rtf
、text/html
、text/json
: 受信者はtext/*
に登録する必要があります。image/jpg
、image/png
、image/gif
: 受信者はimage/*
に登録する必要があります。video/mp4
、video/3gp
: 受信者はvideo/*
に登録する必要があります。application/pdf
: 受信者はサポートされているファイル拡張子に登録する必要があります。*/*
という MIME タイプは使用しないことを強くおすすめします。この使用が適しているのは、汎用データ ストリームを処理できるアクティビティだけです。
Android Sharesheet は、与えられた MIME タイプに基づいてコンテンツのプレビューを表示する場合があります。一部のプレビュー機能は、特定のタイプでのみ使用できます。
MIME メディアタイプの IAA 公式レジストリをご覧ください。
複数コンテンツの共有
複数のコンテンツを共有するには、コンテンツを指す URI のリストを添えて、ACTION_SEND_MULTIPLE
アクションを使用します。MIME タイプは、共有しようとしているコンテンツの組み合わせによって異なります。たとえば、3 つの JPEG 画像を共有する場合、タイプは "image/jpg"
です。
画像タイプが混在している場合、任意のタイプの画像を処理するアクティビティに一致するように "image/*"
にする必要があります。タイプを混在させて共有することは可能ですが、受信者にとって何が送られるのか不明確になるため、行わないことを強くおすすめします。複数タイプを送る必要がある場合は、"*/*"
を使用します。データの解析と処理は、受信アプリケーションで行います。次に例を示します。
Kotlin
val imageUris: ArrayList<Uri> = arrayListOf( // Add your image URIs here imageUri1, imageUri2 ) val shareIntent = Intent().apply { action = Intent.ACTION_SEND_MULTIPLE putParcelableArrayListExtra(Intent.EXTRA_STREAM, imageUris) type = "image/*" } startActivity(Intent.createChooser(shareIntent, "Share images to.."))
Java
ArrayList<Uri> imageUris = new ArrayList<Uri>(); imageUris.add(imageUri1); // Add your image URIs here imageUris.add(imageUri2); Intent shareIntent = new Intent(); shareIntent.setAction(Intent.ACTION_SEND_MULTIPLE); shareIntent.putParcelableArrayListExtra(Intent.EXTRA_STREAM, imageUris); shareIntent.setType("image/*"); startActivity(Intent.createChooser(shareIntent, "Share images to.."));
与えられた URIs
は、受信アプリケーションがアクセスできるデータを指していることにご注意ください。
テキスト プレビューへのリッチ コンテンツの追加
Android 10(API レベル 29)以降、Android Sharesheet では共有されているテキストのプレビューが表示されます。場合によっては、共有されているテキストが理解しにくいことがあります。https://www.google.com/search?ei=2rRVXcLkJajM0PEPoLy7oA4 のような複雑な URL を共有する場合を考えてください。リッチなプレビューがあれば、何を共有するのかがわかり、ユーザーは安心します。
テキストをプレビューする場合は、タイトルまたはサムネイル画像、あるいはその両方を設定できます。Intent.EXTRA_TITLE
に説明を追加してから Intent.createChooser()
を呼び出します。ClipData を介して関連するサムネイルを追加します。
注: 画像コンテンツの URI は、FileProvider から提供されます(通常は <cache-path>
に構成されています)。ファイルの共有をご覧ください。必ず、サムネイルとして使用する画像を読み取るための適切な権限を Sharesheet に付与してください。Intent.FLAG_GRANT_READ_URI_PERMISSION をご覧ください。
次に例を示します。
Kotlin
val share = Intent.createChooser(Intent().apply { action = Intent.ACTION_SEND putExtra(Intent.EXTRA_TEXT, "https://developer.android.com/training/sharing/") // (Optional) Here we're setting the title of the content putExtra(Intent.EXTRA_TITLE, "Introducing content previews") // (Optional) Here we're passing a content URI to an image to be displayed data = contentUri flags = Intent.FLAG_GRANT_READ_URI_PERMISSION }, null) startActivity(share)
Java
Intent sendIntent = new Intent(Intent.ACTION_SEND); sendIntent.putExtra(Intent.EXTRA_TEXT, "Hello!"); // (Optional) Here we're setting the title of the content sendIntent.putExtra(Intent.EXTRA_TITLE, "Send message"); // (Optional) Here we're passing a content URI to an image to be displayed sendIntent.setData(contentUri); sendIntent.setFlags(Intent.FLAG_GRANT_READ_URI_PERMISSION); // Show the Sharesheet startActivity(Intent.createChooser(sendIntent, null));
プレビューは次のようになります。

カスタム ターゲットの追加
Android Sharesheet では、ChooserTargetServices
から読み込んだ共有ショートカットと ChooserTarget の前に表示する、限られた数の ChooserTarget
オブジェクトを指定できます。また、アプリの候補の前に一覧表示されるアクティビティを指す、限られた数のインテントも指定できます。

Intent.createChooser()
を呼び出した後で、Intent.EXTRA_CHOOSER_TARGETS
と Intent.EXTRA_INITIAL_INTENTS
をインテントに追加します。
Kotlin
val share = Intent.createChooser(myShareIntent, null).apply { putExtra(Intent.EXTRA_CHOOSER_TARGETS, myChooserTargetArray) putExtra(Intent.EXTRA_INITIAL_INTENTS, myInitialIntentArray) }
Java
val share = Intent.createChooser(myShareIntent, null) share.putExtra(Intent.EXTRA_CHOOSER_TARGETS, myChooserTargetArray); share.putExtra(Intent.EXTRA_INITIAL_INTENTS, myInitialIntentArray);
この機能の使用には注意が必要です。カスタムの Intent
と ChooserTarget
を追加するたびに、システムが提案する候補の数が少なくなります。通常、カスタム ターゲットを追加することはおすすめしません。Intent.EXTRA_INITIAL_INTENTS
を追加する一般的で適切な例は、共有コンテンツに対してユーザーが実行できる追加のアクションを提供する場合です。
Intent.EXTRA_INITIAL_INTENTS
を使用して、ユーザーが代わりにリンクを送信できるようにする場合です。Intent.EXTRA_CHOOSER_TARGETS
を追加する一般的で適切な例は、アプリが提供する関連する人やデバイスを提示する場合です。
特定コンポーネントのターゲットの除外
Intent.EXTRA_EXCLUDE_COMPONENTS.
を指定して特定のターゲットを除外できます。これは、制御可能なターゲットの削除にのみ使用されます。一般的なユースケースは、ユーザーのインテントがアプリの外部で共有される可能性が高いため、ユーザーがアプリ内から共有するときに、アプリの共有ターゲットを非表示にする場合です。
Intent.createChooser()
を呼び出した後で、インテントに Intent.EXTRA_EXCLUDE_COMPONENTS
を追加します。
Kotlin
val share = Intent.createChooser(myShareIntent, null).apply { // Only use components you have control over share.putExtra(Intent.EXTRA_EXCLUDE_COMPONENTS, myComponentArray) }
Java
share = Intent.createChooser(myShareIntent, null); // Only use components you have control over share.putExtra(Intent.EXTRA_EXCLUDE_COMPONENTS, myComponentArray);
共有に関する情報の取得
ユーザーが共有しようとするタイミングと、どのターゲットを選択したのかがわかると便利です。Android Sharesheet では、ユーザーがクリックするターゲットの ComponentName
を IntentSender
を介して提供することで、これを実現しています。
最初に BroadcastReceiver
の PendingIntent
を作成して、その IntentSender
を Intent.createChooser()
に渡します。
Kotlin
var share = new Intent(Intent.ACTION_SEND); ... val pi = PendingIntent.getBroadcast(myContext, requestCode, Intent(myContext, MyBroadcastReceiver.class), Intent.FLAG_UPDATE_CURRENT) share = Intent.createChooser(share, null, pi.intentSender);
Java
Intent share = new Intent(ACTION_SEND); ... PendingIntent pi = PendingIntent.getBroadcast(myContext, requestCode, new Intent(myContext, MyBroadcastReceiver.class), FLAG_UPDATE_CURRENT); share = Intent.createChooser(share, null, pi.getIntentSender());
MyBroadcastReceiver でコールバックを受信して、Intent.EXTRA_CHOSEN_COMPONENT
を確認します。
Kotlin
override fun onReceive(context: Context, intent: Intent) { ... val clickedComponent : ComponentName = intent.getParcelableExtra(EXTRA_CHOSEN_COMPONENT); }
Java
@Override public void onReceive(Context context, Intent intent) { ... ComponentName clickedComponent = intent.getParcelableExtra(EXTRA_CHOSEN_COMPONENT); }
Android インテント リゾルバの使用

ACTION_SEND
インテント リゾルバのスクリーンショット
Android インテント リゾルバが最もよく使われるのは、明確に定義されたタスクフローの一部として別のアプリにデータを渡す場合です。
Android インテント リゾルバを使用するには、Android Sharesheet を呼び出す場合と同じように、インテントを作成して補足情報を追加します。ただし、Intent.createChooser()
を呼び出さないでください。
ACTION_SEND
および MIME タイプが一致するフィルタを持つアプリケーションが複数インストールされている場合、システムは、インテント リゾルバと呼ばれる曖昧さ回避のダイアログを表示して、ユーザーが共有先を選択できるようにします。一致するアプリケーションが 1 つであれば、そのアプリケーションが実行されます。
Android インテント リゾルバを使用してテキストを送信する例を以下に示します。
Kotlin
val sendIntent: Intent = Intent().apply { action = Intent.ACTION_SEND putExtra(Intent.EXTRA_TEXT, "This is my text to send.") type = "text/plain" } startActivity(sendIntent)
Java
Intent sendIntent = new Intent(); sendIntent.setAction(Intent.ACTION_SEND); sendIntent.putExtra(Intent.EXTRA_TEXT, "This is my text to send."); sendIntent.setType("text/plain"); startActivity(sendIntent);
詳細
データの送信に関する詳細については、インテントとインテント フィルタをご覧ください。