定期購入の価格を変更する

定期購入の基本プランと特典の価格を変更できます。たとえば、デジタル アイテムの価格を毎年調整する必要がある場合や、アイテムの特典内容の変更を価格に反映させたい場合などがあります。

Google Play Console を使用して定期購入の価格を変更する方法について詳しくは、Google Play Console ヘルプセンターのドキュメントをご覧ください。

定期購入の基本プランの価格をプログラムで変更するには、monetization.subscriptions.patch メソッドを使用します。このメソッドは、変更対象の定期購入アイテム構成を含む Subscription オブジェクトを受け取ります。新しい価格は、定期購入の basePlans コレクションに含まれる適切な基本プランの RegionalBasePlanConfig オブジェクトで設定します。大規模なカタログのすべてのアイテムを短期間で更新する必要がある場合や、変更が発生したときに Google Play の定期購入アイテムに自動的に変更を加える商品カタログ管理システムを使用している場合に便利です。

Google Play Console の変更ログにアクセスすると、過去に行った価格の変更に関する情報を確認でき便利です。そちらで確認できる情報には、価格の更新日時、変更を開始したユーザー、更新された地域などがあります。過去の価格変更を確認したり、誤って行った価格変更を確認して次のステップを判断したりする必要がある場合に役立ちます。

新規の定期購入の価格変更

基本プランまたは特典の価格を変更すると、追加の操作を行わなくても、数時間以内にすべての新規購入で新しい価格が有効になります。

既存の定期購入者に対する価格変更

デフォルトでは、定期購入の価格を変更しても、既存の定期購入者には反映されません。既存の定期購入者は以前の価格コホートに分類され、更新時に元の基本プランの価格が引き続き請求されます。

必要な場合には、既存の定期購入者を現在の基本プランの価格に移行できます。 この操作を以前の価格コホートを終了と呼びます。特典の価格フェーズの変更は、既存の定期購入者に適用できません。

以前の価格コホートを終了する

以前の価格コホートはいつでも終了できます。地域ごとに個別に終了できます。Google Play Console から以前の価格を終了するには、Google Play Console ヘルプセンターをご確認ください。

Google Play Developer API で以前の価格コホートを終了する

以前の価格コホートをプログラムで終了するには、monetization.subscriptions.basePlans.migratePrices メソッドを使用します。このメソッドにより、過去の定期購入価格が適用されている定期購入者は、指定された地域の現在の基本プランの価格に移行されます。また、このメソッドは指定されたタイムスタンプより前の価格が現在適用されているユーザーに対し、価格変更通知の送信をトリガーします。このリクエストを送信するときには、RegionalPriceMigrationConfig オブジェクトのリストをリクエスト本文に含めて、価格コホートの移行を設定します。

以前の価格コホートの使用について詳細は、Google Play Console ヘルプセンターをご確認ください。

値下げ

以前の価格コホートを終了し、新しい価格がコホートのユーザーが支払っている価格よりも低い場合、Google Play はユーザーにメールで通知し、対象の定期購入者は基本プランの次回の支払い時に価格が引き下げられます。

ライセンス テスターには、値下げに関するメール通知も届きます。

値上げ

以前の価格コホートを終了し、新しい価格がコホートのユーザーが支払っている価格よりも高い場合、値上げが適用されます。値下げは既存の定期購入者が次回基本プランの支払いを行う際に適用されますが、値上げはユーザーの操作が必要な場合と必要でない場合があります。

デフォルトでは、値上げは既存の定期購入者のオプトインを必要とする変更となっています。ユーザーは最初に請求された価格よりも高い価格に対して、明示的に同意する必要があり、同意しない場合には、Google Play が定期購入を自動的に解約します。ユーザーには 37 日間の事前通知期間の終了後、次回基本プランを支払う際に値上げ価格が請求されます。この請求が行われる 30 日前から、Google Play は既存の定期購入者にメールとプッシュ通知で通知します。

コホート移行をトリガー後の最初の 7 日間は、ユーザーに Google Play からの通知は送信されません。つまり、オプトインによる値上げを開始してから 7 日以内であれば、Google Play が直接ユーザーに通知を開始する前に、既存の定期購入者に通知ができます。この期間中は、再度価格変更を行って元の価格に戻すことで、保留中の値上げを実質的にキャンセルできます。

この 7 日間経過後、新しい価格での最初の更新の 30 日前から、各ユーザーには Google Play から自動通知が送信されます。

既存の定期購入者に対して値上げを実施する場合、ユーザーに事前通知はするものの、ユーザーにアクションを求めず、値上げを実施することもできます。このオプションを使用する場合、ユーザーが定期購入プランの変更または定期購入の解約により、オプトアウトしない限りは、事前通知期間の終了後の基本プランの次回支払い時に新しい価格が請求されます。事前通知期間は国によって異なり、30 日または 60 日のいずれかとなります。この請求が行われる 30 日または 60 日前から、Google Play はメールとプッシュ通知で既存の定期購入者に通知をします。

オプトアウトによる値上げは特定の地域でのみ可能で、値上げの金額と頻度に制限があり、特定のデベロッパー要件が適用されます。

図 1 に示すように、オプトアウトによる値上げがそのような要件を満たす場合は、以前の価格コホートの移行をオプトアウトによる値上げとしてマークできます。

Google Play Console でのオプトアウトによる値上げとマークした以前の価格コホートの移行
図 1. Google Play Console を使用して、以前の価格コホートの移行をオプトアウトによる値上げとして指定

価格の変更をユーザーに知らせる

以前の価格コホートを終了するときは常に、既存の定期購入者に通知する必要があります。

オプトアウトによる値上げを行う場合は、ユーザーに事前通知を送って、アプリ内通知を表示する必要があります。オプトインによる値上げとは異なり、Google Play がユーザーに直接通知するまでの 7 日間の待機期間はありません。

オプトインによる値上げの場合は、ユーザーに事前通知を送って、値上げに対する同意が必要であることを知らせます。オプトインによる値上げを開始してから 7 日以内であれば、Google Play が直接ユーザーに通知を開始する前に、既存の定期購入者に通知ができます。影響を受けるユーザーにアプリ内で通知し、Play ストアの定期購入画面へのディープリンクを提示して、ユーザーが簡単に新しい価格を確認できるようにすることをおすすめします。ユーザーが Play ストアの定期購入画面でオプトインによる値上げを確認すると、図 2 のようなダイアログが表示されます。

定期購入の価格変更をユーザーに通知する一般的なダイアログ
図 2. 定期購入の価格変更をユーザーに通知するダイアログの例

オプトインによる価格変更に対するユーザーの返答を処理する

既存の定期購入者に価格変更を通知し、それがオプトインによる値上げの場合、定期購入者は新しい価格が適用される前に、値上げに同意するかしないかについてアクションを取る場合があります。定期購入者が同意した場合は、その結果を通知する RTDN が自分宛てに送信されます。購入ライフサイクルのガイダンスをご覧になり、このような通知を処理する方法についてご確認ください。

ユーザーがアクションを行わず、オプトインによる値上げが適用される初回の更新日が来た場合、定期購入は自動的に解約され、その更新日に期限切れとなります。

誤ってオプトインによる値上げを行った場合

誤ってオプトインによる値上げを開始した場合、再度価格変更をして元の価格に戻すことで、すぐに変更を取り消せます。7 日以内に価格を元に戻せば、既存の定期購入者に誤った価格変更が通知されることはありません。その期間内に購入された場合は、誤った価格が適用されます。

重複するオプトインによる値上げに対応する

価格変更は一度に 1 回のみ行うようにしてください。ただし、オプトインによる値上げを最初の 7 日間に複数回実行した場合、影響を受けるユーザーが同意する必要があるのは、最新の価格変更に対してのみです。たとえば、オプトインによる値上げで以前の価格コホートを終了して、価格を変更し、その後別のオプトインによる値上げを実行した場合、影響を受けるユーザーには 2 回目の価格変更のみが適用されるため、最初の価格変更に対応する必要はありません。

価格変更をテストする

テスト目的でアクティブな定期購入者が所有している商品の定期購入価格を変更しないでください。

価格変更のテストについて詳しくは、テストガイドをご覧ください。

このセクションの例では、さまざまな価格変更シナリオでのベスト プラクティスを活用する方法について説明します。

例 1: 月単位の定期購入でのオプトインによる値上げ

SuperStreamz は、プレミアム動画ストリーミングの定期購入である SuperStreamz Pro について、3 月 3 日に以前の価格コホートを終了して、値上げします。以前の価格コホート($1)のユーザーは、現在の基本プランの価格($2)に移行されます。価格変更の発効日は 4 月 9 日(3 月 3 日から 37 日後)です。

あるユーザーはすでに定期購入中であり、次回の更新日は 3 月 5 日です。発効日の後の最初の更新日は 5 月 5 日です。したがって、3 月 5 日および 4 月 5 日は元の価格($1)で更新されます。5 月 5 日に更新すると、新しい料金($2)が請求されます。Google Play はこのユーザーに対して 4 月 5 日から価格変更の通知を開始します。これは新しい価格での最初の更新日の 30 日前にあたります。

図 3. 月単位の定期購入での価格変更のタイムライン(更新日が 3 月 5 日の場合)の例

別のユーザーもすでに定期購入中であり、次回の更新日は 3 月 29 日です。3 月 29 日には価格変更がまだ有効になっていないため、以前の価格($1)で更新されます。4 月 29 日に更新するときに、新しい料金($2)が請求されます。最初の通知は 3 月 30 日に届きます。これは新しい価格での最初の更新日の 30 日前です。

図 4. 月単位の定期購入での価格変更のタイムライン(更新日が 3 月 29 日の場合)の例

例 2: 3 か月単位の定期購入でのオプトインによる値上げ

FindMyLove は 3 月 3 日に FindMyLove Premium の以前の価格コホートを終了し、3 か月間の価格を $1 から基本プランの価格である $2 円に値上げします。価格変更の発効日は 4 月 9 日(3 月 3 日から 37 日後)です。

あるユーザーはすでに定期購入中であり、次回の更新日は 3 月 5 日です。価格変更がまだ有効になっていないため、以前の価格($1)で更新されます。6 月 5 日に更新するときに、新しい料金($2)が請求されます。最初の価格変更通知は 5 月 6 日に届きます。これは新しい価格での最初の更新日の 30 日前です。

図 5. 3 か月単位の定期購入での価格変更のタイムライン(更新日が 3 月 5 日の場合)の例

別のユーザーもすでに定期購入中であり、次回の更新日は 4 月 11 日です。次回の更新日は価格変更の発効日後であるため、新しい価格($2)で更新されます。最初の価格変更通知は 3 月 12 日に届きます。これは新しい価格での最初の更新日の 30 日前です。

図 6. 3 か月単位の定期購入での価格変更のタイムライン(更新日が 4 月 11 日の場合)の例

例 3: 週単位の定期購入でのオプトインによる値上げ

CutePetsNews は 3 月 3 日に、Weekly Dog Alerts の以前の価格コホートを終了し、週単位の価格を $1 から $2 に値上げします。価格変更の発効日は 4 月 9 日です。

あるユーザーはすでに定期購入中であり、次回の週次更新日は 3 月 6 日です。3 月 6 日、3 月 13 日、3 月 20 日、3 月 27 日、4 月 3 日は価格変更がまだ有効になっていないため、元の価格($1)で更新されます。4 月 10 日に更新するときに、新しい料金($2)が請求されます。最初の価格変更通知は 3 月 11 日に届きます。これは新しい価格での最初の更新日の 30 日前です。

図 7. 週単位の定期購入での価格変更のタイムライン(更新日が 4 月 6 日の場合)の例

例 4: 月単位の定期購入でのオプトインによる複数回の価格変更

この例では複数回の価格変更がどのように処理されるかを示します。

SuperStreamz は 3 月 3 日に、プレミアム動画の定期購入である SuperStreamz Pro の価格の移行をトリガーし、月額 $1 から $2 に値上げしました。3 月 10 日に 2 回目の価格移行をトリガーし、月額 $3 に値上げしました。

初回の価格変更の発効日は 4 月 9 日(3 月 3 日から 37 日後)です。2 回目の価格変更の発効日は 4 月 16 日(3 月 10 日から 37 日後)です。

あるユーザーの次回の更新日が 3 月 5 日であったとします。発効日の後の最初の更新日は 5 月 5 日です。したがって、3 月 5 日および 4 月 5 日は元の価格($1)で更新されます。5 月 5 日に再度更新すると、新しい料金($3)が請求されます。価格変更が 7 日間の待機期間中に行われたため、ユーザーには 2 回目の価格変更に関する通知のみが送信されます。最初の価格変更通知は 4 月 5 日に届きます。これは新しい価格での最初の更新日の 30 日前です。

図 8. 月単位の定期購入での複数回の価格変更のタイムライン(更新日が 3 月 5 日の場合)の例

例 5: 月単位の定期購入でのオプトアウトによる価格変更

この例ではオプトアウトによる値上げがどのように処理されるかを示しています。

SuperStreamzPro はプログラミング コストの上昇により、年間価格を調整する必要があります。1 月 2 日に SuperStreamzPro(プレミアム動画ストリーミングの定期購入)の価格を $1 から $1.30 に変更します。この値上げはオプトアウトによる価格移行の基準を満たしています。以前の価格コホートをすぐに終了し、無効化オプション付きの移行を指定しました。このコホートのユーザーは、最低 30 日間のオプトアウト通知期間が求められる地域に居住しているため、新しい価格は 2 月 1 日から有効になります。

あるユーザーはすでに定期購入中であり、毎月 14 日に請求されています。通知期間は 30 日間であるため、1 月 14 日には元の価格($1)を支払います。Google Play は 1 月 15 日から価格変更の通知を開始し、2 月 14 日より新しい料金($1.30)が請求されます。